ヨーグルトの栄養・効用
栄養的効果
ヨーグルトは牛乳や脱脂粉乳などの原料を乳酸菌で発酵させたものです。牛乳の栄養性に加え、乳酸菌の働きによる効果も期待できます。
乳酸発酵によりたんぱく質の一部がペプチドまで分解されており、消化吸収されやすくなっています。
ヨーグルト中の乳糖の20〜40%はすでに分解されているうえ、乳酸菌の持つ乳糖分解酵素(ラクターゼ)が腸で働くため、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人にも安心です。
牛乳と同じくカルシウムが豊富に含まれ、しかも乳酸と結びついて乳酸カルシウムとなっており、いっそう吸収されやすくなっています。
生理的効果
ヨーグルトの酸味は食欲を増進させ、胃液の分泌や腸の蠕動運動を促し、消化吸収を助ける作用があります。また、乳酸は腸内の微生物に利用され、多くの酪酸やプロピオン酸などの有機酸を作り、腸内の有害菌を減らす効果があります。
腸に生きて達する乳酸菌は腸内で増殖して乳酸を作り、悪玉菌を抑えて有害な物質が作られるのを防いで、腸の調子を整える働きがあります。最近の研究では、乳酸菌が免疫力を高め、がんや感染症に対する抵抗力を高めることも報告されています。
乳酸菌は生きていなくても、発酵生産物や菌体成分にも健康増進に貢献する効果(抗腫瘍性、血圧降下作用、血清コレステロール低下作用)があることが、近年明らかにされつつあります。これらの成分をバイオジェニックスと呼ぶ場合があります。
特定保健用食品
「おなかの調子を整える」などの効果が認められ、下図のような特定保健用食品マークを表示したヨーグルトがあります。特定保健用食品とは、「食生活において特定の目的で摂取するものに対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をするものをいう」と定義されたもので、「トクホ」ともいいます。形態は、食品のほか錠剤、カプセルなどもあります。
許可されている食品には、①おなかの調子を整える食品、②コレステロールが高めの人の食品、③血圧が高めの人の食品、④ミネラルの吸収を助け
る食品、⑤虫歯の原因になりにくい食品、⑥血糖値の気になり始めた人の食品、⑦中性脂肪が気になる人の食品、⑧骨の健康が気になる人の食品などがあります。わが国で最も製造・販売されているのは、①のおなかの調子を整えるなどの作用に関するものです。
許可マークのついた食品には次のことが表示されています。
・許可マーク
・「特定保健用食品」の文字
・許可を受けた理由や表示内容
・摂取するときの注意点と1日あたりの摂取目安量
・関与する成分
ヨーグルト・乳酸菌飲料の場合、許可理由のほとんどは、特定の乳酸菌やオリゴ糖が腸内の環境を改善しておなかの調子を整えるというものです。その他に血圧が高めの人や血糖値が気になり始めた人の生活改善に役立つものもあります。
ヨーグルトの種類と製造方法
エネルギー(kcal) | 水分(g) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | カルシウム(mg) | |
---|---|---|---|---|---|---|
プレーンヨーグルト | 62 | 87.7 | 3.6 | 3.0 | 4.9 | 120 |
飲むヨーグルト | 65 | 83.8 | 2.9 | 0.5 | 12.2 | 110 |
牛乳 | 67 | 87.4 | 3.3 | 3.8 | 4.8 | 110 |
