機能性ヨーグルトって?

機能性ヨーグルトとは、病気予防や健康維持などの特定の「機能」を目的としたヨーグルトのことです。
例えば、「ビフィズス菌で中性脂肪を減らす」「プロピオン酸菌で便秘を解消する」「乳酸菌でインフルエンザを予防する」などの効果が期待できるヨーグルトをいいます。

微生物学者イリヤ・メニチコフ

もっとも、ふつうのヨーグルトでも健康に良いことに違いはありません。ヨーグルト発祥の地はブルガリア近郊だとされていますが、ブルガリア人はヨーロッパの中でも長寿の人が多いことで有名です。
ロシアの微生物学者であるイリヤ・メニチコフは、ブルガリアを旅していたときに長寿の秘訣とされるヨーグルトにたいへん興味を持ちました。
その後、ヨーグルトを持ち帰って研究したところ、ヨーグルトのなかには乳酸菌という生きた菌が入っていて、これが健康や免疫力アップに非常に効果があることを発見したのです。
メニチコフはその後、ヨーグルトと食細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。メニチコフの研究成果により、ヨーグルトは「不老長寿の健康食」として一躍大ブームとなったのです。
機能性ヨーグルトはこのような健康食への注目が高まっていた歴史のなかで生まれたのです。

ふつうのヨーグルトと何が違うの?

機能性ヨーグルトは美味しいだけではなく「健康増進」を主要な目的とします。そのため、ふつうのヨーグルトの乳酸菌以外にもさまざまな酵母菌が入っているのです。
例えば、整腸作用のあるブルガリア菌、悪玉菌を減らすカルピス菌、便秘を解消するクレモリス菌、長寿に役立つビフィズス菌、風邪に効くフェカリス菌などなど。
商品によって入っている菌や効果はそれぞれですが、このような健康に役立つ付加価値を採り入れたのが機能性ヨーグルトなのです。

微生物学者のロイ・フラー

機能性ヨーグルトが世界に広まるきっかけを作ったのは、イギリスの微生物学者のロイ・フラーです。
フラーは予防医学に貢献した研究者として知られ、彼の提唱した「プロバイオティクス」はヨーグルトの開発にも多大なる影響を与えています。
プロバイオティクスとは、人間にとって有用な腸内細菌のバランスを整えることで健康なカラダを作っていこうという考え方のことです。
かつて治療医学においては、抗生物質を投与し「菌を殺そう」という考え方がメジャーでした。しかし新種のインフルエンザが毎年登場することからも分かるとおり、抗生物質はウイルスや細菌を進化させ薬剤耐性菌を作ってしまうことにも繋がります。
たしかに人間にとって悪い菌を取り除くのは治療のうえでは大切なことですが、それ以上に人間にとって良い菌を増やす大切さは今まで見過ごされてきました。
フラーの主張したプロバイオティクスによってはじめて、「カラダに良い菌を増やそう」といった考え方が認知されるようになったのです。
機能性ヨーグルトは、メニチコフから始まった100年以上に渡る腸内菌の研究の末に生まれた健康食品なのです。